IFSMA便り NO.88

MASSコード

(一社)日本船長協会 理事 赤塚 宏一

 

はじめに

 自動運航船(Maritime Autonomous Surface Ships)の社会実装も遠い将来のことではなく、建造及運航にともなう必要な法的整備が急がれている。自動運航船の運航に関する基本的なコード、すなわち“Code ofMaritime Autonomous Surface Ships” (「自動運航船に関するコード」 以下MASS コード) については、予てからIMOで議論されてきたが、海上安全委員会、法律委員会及び簡素化委員会の三委員会合同作業部会の第二回会合が4 月17日〜21日に行われた。IMOでは2024年内に非強制の目標指向型の規則を作成したうえで、2028年1 月1 日から発効することを目標とした新強制要件であるMASSコードを、最早2025年春に完成させるという作業計画が合意されている。
 MASSコードは船長の役割と責任を取り扱うところからIFSMAはもっとも関心の強い議題として取り扱い、総力を挙げて取り組んできた。作業部会に提出された11本の提案文書のうちIFSMAは3 本の提案文書を提出し、議論をリードしてきた。この会合のIFSMA報告を楽しみにしていたのだが、IFSMA事務局長は会合の模様をできる限り正確に報告するためとして、IMO事務局作成による第107回海上安全委員会(MSC 107)に提出する作業部会報告書(MSC 107/ 5 / 1   2May 2023 以下「報告書」)に少々注釈をつけて「報告書」そのものを回章した。これはIFSMA事務局長としては異例のことである。
 しかしIMO事務局による「報告書」は極めて詳細でIFSMAや日本政府の提案文書など主要な提案を要約し、その審議経過と結論を丁寧に報告しているところからわかりやすく、作業部会の報告書として良く出来て居る。さらにIFSMA事務局はこの「報告書」のなかでIFSMAの発言やその提案が合意された部分をマーカーにて表示してある。本稿ではこのIMO報告書に基づいて、MASSコード策定作業における審議の一部を示してみたい。例えばMASSにおける「船長」の定義を決めるにおいても多くの意見が表明されており、これはMASSにおける船長のあり方に対して各国により、あるいは団体により多くの見方があることを示すもので、これはこれで興味深い。審議の過程を知ることはこのMASSコードの理解に役立つのではないかと思う次第である。
 なお、この作業部会に出席したIFSMAの代表チームは事務局長のCommodore JimScorer, David Appleton( IFSMA MASSコード・グループ・議長 英国)、Captain Morten Kevin( ノルウェー船長協会)、Andrew Higgs (海事弁護士) である。
 いうまでもなくこの会合は合同作業部会であることから定義などはそれぞれの該当委員会で決定するため作業部会で合意された基本的な考え方を提示している。 今後自動運航船に関する多くの報告やコメントがなされるかと思うが、本稿はあくまでIFSMAの視点に立った報告である。

MASSコード策定に関する作業部会

 この作業部会には加盟国52ヶ国ならびに香港及び欧州連合が参加し、またI F SMAやIMPA、船主団体などの国際的なNGO 21団体が参加した。議長は日本の東大の後藤元教授及びスウェーデンのMr. H. Tunfors が共同議長となった。これは作業部会における議論の技術及び法的側面の双方のバランスを取るためとされている。
この作業部会の目的は
1 .現行基準の改正の要否、新たに必要となる基準等についての検討
(Regulatory Scoping Exercise:RSE)
において明らかになった緊急を要する問題点についての検討
2 .三つの委員会で示されたロードマップを考慮し、作業計画を立案すること、そして三委員会で示された問題につき、検討し結果を報告すること。

 自動化船における船長の役割などの議論においては自動化の程度が大きな指標になるところからまずIMOで定義されている自動化の程度について確認したい

Degree One: crewed ship with automated processes and decision support
レベル1 :自動化されたプロセスや意思決定支援のある船舶:船員が乗船し、船上システム及び機能の操作及び制御を行う。自動化され、一時的に監視されない操作もあるが、船員は制御を引き継ぐ準備ができている。

Degree Two: remotely controlled shipwith seafarers on board
レベル2 :船員が乗船して遠隔操作される船舶:船舶は別の場所から制御及び操船される。船員が乗船し、船上システム及び機能の操作及び制御を引き継ぐことができる。

Degree Three:remotely controlled ship without seafarers on board
 レベル3 :船員が乗船せずに遠隔操作される船舶:船舶は別の場所から制御及び操船される。船員は乗船しない。自律性が高く最終意思決定者が船員以外となる領域が存在する自動運航船

Degree Four :fully autonomous ship
レベル4 :完全自律化された船舶:船舶の運航システムが意思決定を行い、行動を決定することができる。

MASSコードの拡大  

 MASSコードとは“Code of Maritime Autonomous Surface Ships”( 「自動運航船に関するコード」)と理解されてきたが、この作業部会ではMASSを“Code of MaritimeAutonomous Ships and Systems” とする提案がなされた。この提案によるとMASSは単に船舶を意味するのではなく、自動運航船のシステム及び遠隔オペレーションセンター(ROC)及び関連する陸上施設におけるシステムをも含むことになり、その概念は大幅に拡大する。MASS=Maritime AutonomousSurface Ships は関連業界に定着しつつあり、さらにこの変更は作業部会が合意するかどうかなどの単純な定義の拡大ではなく、MASSコードそのものを拡大することになる。従って作業部会でしっかり議論したうえで当該委員会である海上安全委員会で審議のうえ決定すべきこととし当面は現在の船舶のみを意味することに合意した。

船長の役割と責任 
Role and responsibilities of the master of MASS
 

 MASSコードの中心的課題ともいうべき本件については活発な議論が行われたが、
IFSMAが主張したのは次の点である。
「全ての自動運航船について人間である「船長」の存在が合意されているが、新たに「船長」の定義を設ける必要はない。自動運航船は船であることに変わりは無く船長の権限と責任は在来船と同様である。自動運航船のオペレーションに当る者はたとえ本船が完全に自動化された状態であってもその運航に全面的な責任を持たねばならない。
 もし、自動運航船に乗組員もしくは他の要員が乗船していれば、これらの人員の安全を確保するために船長は乗船していなければならない。一方自動化の程度とその技術的レベルによっては船長が乗船する必要はない。」
 これに対して、自動運航船における船長の機能についてはさらに検討の余地があるのではないか、また現時点で自動運航船の船長の定義を行うのは時期尚早ではないか、すなわち運航船が実際にどのような体制で運航されるのか判らないところもあるし、どの程度人間の介在を必要とするのかしないのかも判らない、との指摘もあった。さらに船長の役割を定義するにあたっては“command”(指揮する)と “control”(統制する)との言葉を十分に吟味する必要もあるのではないかとの意見もあった。
 このような議論 “dynamic exchange” を経て作業部会は次の3 点について合意した。

1 .自動化の程度や運航管理の仕様の違いがあっても自動運航船には常に人間の船長が存在しなければならない。


2 .船長は船内が無人であり、かつ自動化技術の程度によっては乗船しなくてもよい。


3 .自動化の程度や運航管理の仕様の違いがあったにせよ必要な時に船長は常に本船をコントロール(intervene)出来なければならない。これはいわゆるオーバライド“Override” と呼ばれるものでClass NK「自動運航船の社会実装に向けて」 2023年4 月27日によると「システムが(自動化システムと遠隔制御システムの両方を包含する)運航設計領域から逸脱しているか否かに関わらず、人間の意志により操作権限を上書きする行為を指す」とある。


 この合意を踏まえて次回の作業部会(第三回 2023年9 月11日〜15日予定)にて審議するためにIMO事務局に対して、IMO規則及び国連海洋法条約における船長の役割と責任に関する条文をリストアップするように要請した。このような関連条文のリストアップ作業は非常に手間のかかることだが、このような作業を練達の国際機関の事務局員が行ってくれることにIFSMAとしても期待を示している。また加盟国に対してはIMOが直接関わることのない他の国際法上における船長に関する規定や条文について文書の提案を求めた。
 さらに作業部会は法的な船長の役割及び責任について自動運航船の運航形態の違いや自動化の程度により、他の関係者や機関への委譲が可能か否かを議論することとなった。

自動運航船の船長及び乗組員の能力及び要件  

 船長及び乗組員の能力及び要件はSTCW条約によることとなるが、当然のことながらこれに加え新たな要件の追加や現行STCW条約の改正も必要であろう。またILO(国際労働機関)の海上労働条約(MLC)が自動運航船の船長及び乗組員に適用されるであろうが、これについては他の適当な場で議論することに合意した。これには両条約でいう“seafarer” の意味するところが多少違うとの認識で、STCW条約についてはIMOの海上安全委員会及び人的因子・訓練小委員会、MLCに関連する事項はILOで審議されるこ とになる。
 乗組員の要件については“remote crew”と“onboard crew” との定義を定めその要件を審議すべしとの意見もあったが、まず船長の能力及び要件を定めることが必要であるとの合意となった。
 自動運航船に乗り組む船長及び乗組員についてはSTCW条約が基本となることに何ら疑問がないが、次項で述べる遠隔オペレーションセンター(ROC)で運航管理に当る“船長” 及び“乗組員” の能力及び要件については海上安全委員会で審議されるべきものであるが、この作業部会においても幾つかのコメントがなされている。
 すなわち、ROCにおける船長の定義と要件については、ROCがどのような組織・形態となるかによるところが大きく、MASSコードの全体像がもう少し具体化してからでないと決められる問題ではないし、作業部会で決める問題でもない。また自動運航船の船長は、船主によって任命された者であり、これは ROCにおける自動運航船の船長にも当然適用される筈だとの意見もあった。
 これに対しIFSMAは自動運航船の船長の定義は、船上であろうとROC内であろうと、在来船と同様に「自動運航船の運用に全体的な責任を持つ者である」と極めて簡潔・明快である。本件はいずれにしてもさらに議論されるべき課題である。

遠隔オペレーションセンターの役割と責任  

 遠隔オペレーションセンター(R e m o t e Operation Centre 以下ROC)が合意された呼称だが“Remote Control Station” という名称も提案された。 ここでも活発な意見が交換されたがI F S M AはR O Cの定義には“under the effective jurisdiction of the flag State” (旗国の実効的な管轄下にある)を加えるように求めた。自動運航船の全般的な運航を管理するROCに加えワークステーションを設けたらどうかとか、自動運航船とVTS(船舶交通管制)との交信も必要なのでROCの定義を定めるにあたっては当然考慮すべきとの意見もあった。さらに自動運航船に対するリアル・タイム・コントロールも定義に加えるべきとこと、またROCにおいては船舶の安全管理機能のみではなく、積載貨物の情報や保全対策などの機能についても考慮すべきとの意見があった。
 こうした議論を経てROCのとりあえずの定義として次の文言が合意された。
“Remote Operations Centre means a location remote from the MASS that can operate some or all aspects of the functions of the MASS.”
「リモートオペレーションセンターとは、自動運航船の機能の一部または全部を操作できる遠隔地にある拠点を意味する」
 ついで自動運航船が一航海において異なるROCで管理可能かという問題が討議された。意見としては技術的にはもちろん可能であろうが、これは海上安全委員会で審議されるべきものである、あるいは異なる国に存在するROCによる運航管理の問題については今の時点で議論するにはあまりに問題が複雑・困難である、またROCは種々の形態が考えられるし、また災害などに備えてバックアップのためのROCも必要かも知れない、との意見もあった。
 IFSMAは国連海洋法条約で要求されるように船籍とROCの間には真正な関係(genuinelink)がなければならないと主張している。IFSMAが旗国の実効的な管理を強く求めるのにはポートステートコントロールもさることながら、一義的には本船の安全基準や船員の労働条件やウェルビーイングを管理出来るのは旗国しかないからである。ロシアのウクライナ侵攻以降いわゆるGhost(Shadow)Tanker 「幽霊船団」あるいはDark Fleet 「暗闇のの船団」の跋扈は海難や海上汚染の危険性が強く懸念されていることは周知の事実である。これを監督・指導出来るのは旗国の他にはない。本件については次項でもう少し触れる。

自動運航船運航における法的側面
(T h e legal aspects of operation of MASS)
 

 IMOの第109回法律委員会(2022年3 月5日)で確認されたように自動運航船は国連海洋法条約を遵守する必要があり、いわゆる目標設定型のMASSコードの作成についてはその第94条(旗国の義務)を始めとする条文との十分な摺り合わせの必要があり、複雑かつ困難な作業があることは第106回海上安全委員会(2022年11月)においてアルゼンチン代表から指摘されたところである。
 船籍国とROC所在国とが異なるような場合については次のようなコメントがなされた。
⑴ 国連海洋法条約第94条(旗国の義務)に基づく旗国による有効な管轄権の行使と規制を行うことはもっとも重要である。

⑵ R O Cが旗国とは別の国にある場合はROCとその所在国との間に「真正な関係」がなければならない。「真正な関係」については法律委員会で審議すべきである。

⑶ 船舶の不正登録及び不正登録に関連する違法行為を防止するための措置という観点から、「真正な関係」要件に関する第110回法律委員会(2023年4 月4 日)の議論は、当作業部会の議論に適切かもしれない。

⑷ ISMコードと同様の枠組みを採用することができるのではないか、すなわち旗国が、自国の領域外に位置し、自国籍の船舶を運航するROCを監督・監査し認証(適合文書)を取得することを保証するシステムである。

⑸ 自動運航船の運航に関わる旗国の管轄権や責任に関する複雑な法的問題は、国連海洋法条約の観点から間違いなく問題となるであろう。国連海洋法条約の第91条(船舶の国籍)及び第94条(旗国の義務)に関わる条項は私法上の契約や協定などその他の取り決めでは代替できないからである。国連海洋法条約に関する審議は法律委員会に委ねるのが適当であるし、またその解釈は本来加盟国が行うものであるが、自動運航船の安全かつ円滑な運航を遂行するためにはIMOとしても適切な関与が必要と認識された。

 ここで少し「真正な関係」“Genuine Link”について触れておく。今後MASSコードの策定において審議されるべき重要事項だからである。もとより筆者に格別の知見はないが、W i k i p e d i a に格好の解説(h t t p s:/ / j a .wikipedia.org/wiki/便宜置籍船)があったのでそのまま引用しておく。
 なお、「真正な関係」や便宜置籍船については同窓の優れた著書「便宜置籍船と国家」 武城正長著 御茶ノ水書房や「便宜置籍船論」逸見真著 信山社 などがあることも挙げておきたい。

「第二次世界大戦後に便宜置籍船が増加したことに対応するため、1958年の公海に関する条約第5 条、1982年採択の国連海洋法条約第91条では、国籍国と船舶の間には「真正な関係が存在しなければならない」と定められた。しかし、これらの条約では「真正な関係」について具体的な要件の定義がされず、船籍を付与する国の法令に委ねられていた。その後、1986年に採択された「船舶登録要件に関する国際連合条約」により、初めて「真正な関係」の具体的要件が規定された。同条約では船籍国に船舶の所有者である法人やその子会社・営業所がある場合のほか、船籍国国籍の代理人か管理担当者である法人が存在する場合にも船籍登録が許容された(同条約第10条)。船籍登録に必要な船籍国民(法人を含む)の船舶所有に関する参加の具体的水準は各国の法令に委ねられ、船籍国民の資本参加までは要求されておらず(同条約第8 条)、船員の国籍についても十分な部分を船籍国民とする原則を勧告的に尊重させるに留めて、外国人船員の乗船を許容した(同条約第9 条)。これらは便宜置籍船の現状を追認する内容で、国際的な海運取引に何らの影響も与えない結果となった。
 旗国主義との関係で、実質的な船主の国の法規制が便宜置籍船には原則として及ばない。そのため、一部の船主がこの制度を悪用して、乗組員の処遇を他の国と比較して極端に低く抑えたりすることが国際的に問題となっている。先進国の船主が便宜置籍船を利用して自国の法規制を逃れて商船の運用コストを抑えているところ、自国海運の育成を図る発展途上国は、船籍国の資本参加や船籍国民の乗船を船籍登録の要件として便宜置籍船の規制を強化することで先進国の国際競争力を削ごうとしたが、国際法上の位置付けで前述のとおり、1986年に採択された「船舶登録要件に関する国際連合条約」では現状が追認された。」
 なお、この条約は未だ発効していないと理解している。
また作業部会は法律委員会から要請されたMASSコードの前文に法的な枠組みを示す次の条項につき審議した。
“The Code is required to conform to generally accepted international regulations,procedures and practices developed by the International Maritime Organization (IMO)as the competent international organization for global shipping and to take any steps which may be necessary to secure their observance.”
“MASSコードはIMOが国際海上輸送を管轄する国際機関として制定し一般に認められた国際規制、手続き、および慣行に準拠することが要求され、IMOはその遵守を確保するために必要なあらゆる措置を講じることが求められている。”
 これについてはこのような条項を含めることが、IMOのこれまでの慣行なのかどうなのか質問があったが、HSCコードやSOLAS条約、あるいは満載喫水線条約などにも同様の記述があることが示された。
 IFSMAは本件について「特に規制の対象が新たな技術開発である場合や、自動運航船の運航における国家による規制や指導などに関して、国連海洋法条約および他の国際法の規則との一貫性を維持・確保する必要がある」と強調した。

7 .終わりに  

 自動運航船の運航においてIFSMAがもっとも重要視するのは法的な枠組みの確立、必要な国際規則・手順などの整備とその遵守である。自動運航船が全て法の支配下にある体制を確立することである。運航責任者を透明化し、必要な連絡や指示やあるいは責任体制を明確化することである。「幽霊船団」などは論外である。自動運航船の実用化の初期に於いては相当の混乱が予想されるが、それを極力コントロールし、最小限に留めることである。そして自動運航船の時代には決してサブスタンダード船、サブスタンダード運航体制を持ち込ませないことである。
 2017年にバルチモアで開催されたIFSMA総会で米国コーストガードの高官が講演したのだが、自動運航船に関し「どこか知らない山の中にあるROCでコントロールするような他国籍の自動運航船が米国の領海内を無条件で航行するようなことは容認出来ない」と語ったのを記憶している。
 国の内外で自動運航船に関する多くのセミナーや講演会が行われあるいは予定されている。自動運航船の開発状況や実用化への見通し、海上交通法規と自動運航船、あるいは自動運航船の実用化を見据えた新しい海技教育、国連海洋法条約を巡る問題など枚挙に暇がない。4 月21日付のLloyd’ s List によると英国のMaritime Skills Commission( 海事スキル・コミッション IFSMA便り No.82 月報第469号 2022年6 月・7 月号ご参照)は6 月にも“Cadet Training and ModernizationProgramme” と題するレポートを発表するそうだ。詳細は機会があれば紹介したいが、脱カーボンとデジタリゼーションの時代に対応出来る船員教育についての提言である。しかし自動運航船に関わる船員の教育についてはまだまだ多くの事柄を検討しなければならないとしてレポートでは深く言及されないようだ。IT技術を身に付けた若者はコーディングは理解出来るが、船舶が海上で実際にどんな状況に遭遇するのかを十分に知ることは簡単ではないし、一方海技を身に付け海上経験があってもIT技術を習得するのはそう簡単でもない、と指摘している。
 自動運航船の運航に関わる実務に関わる機会はない身としても自動運航船を巡る今後の展開は大きな楽しみである。

参考資料

1 .IMO Document “MASS-JWG 2/WP.1”  21 April 2023
2 .IMO Meeting Summaries and schedule
  https:tinyurl.com/ynj4m7np
3 .IFSMA Newletter 64  May 2023
4 .MSC 107th SESSION IFSMA事務局長報告
5 .Class NK「 自動運航船の社会実装に向けて」 2023年4月27日
6 .「便宜置籍船と国家」 武城正長著 御茶ノ水書房
7 .「便宜置籍船論」 逸見真著 信山社
8 .Lloyd’ s List  21 April 2023
  “UK soon to deliver on training modernization programme”
9 .The Maritime Executive  May 19 2023
  “Will Owners of Autonomous Ships be Liable to Autonomous mistake ? ”


LastUpDate: 2024-Nov-25